先日、とあるコメントを頂いた。一部抜粋する。
私もsora様と同じく長毛種ニャンコと暮らしております。そしてこれまた同じく服装が年間通してセットアップ中心の全体モノトーン縛りです。
とにかく猫毛が絡んで目立つ目立つ。出かける前は全身くまなくとにかくコロコロ、そして特に靴下が大変。室内を少し歩けば黒のソックスが真っ白。
sora様はNo靴下だと思いますが、もし履いているとしたら、そしてジャケット、スラックスが毛まみれになること、これらに感してどのように対処していますか?そしてどのような気持ちでこれらのことを受け入れていますか?
というわけで、私の猫の毛対策を紹介する。
猫の毛と黒の服を両立させたい

うちには猫が2匹いる。長毛種のサイベリアンだ。猫種の中で唯一トリプルコートという3層構造の被毛を持つ。モフモフでゴージャスな毛並みが魅力的だが、全猫種の中でトップクラスに抜け毛の量が多いとされている。
そんな中、私は全身黒の服しか着ない。なので服についた猫の毛は非常に目立つ。

しかしそれでも私は黒の服を好む。それは黒が好きだからだ。猫の毛の色に合わせて白い服にすれば、この悩みは解決されるが、それは私のプライドが許さない。
猫も愛でる、黒い服も愛でる。その両立を日々模索している。
この記事は、猫と黒い服を愛してやまない同胞へ送る、私からのアドバイスだ。

手っ取り早い方法
猫の毛が服につきにくくなる方法はいくつかある。
- 毛が付着しにくい服を選ぶ
- 静電気防止スプレーを使う
- 猫にブラッシングをして抜け毛を抑える
- 猫の毛がつきにくくなる洗剤を使う
などが一般的だが、そんなことよりも猫の毛を物理的につけない仕組みを作ることが手っ取り早く、確実に効果がある。
結論を言うと、外出着と部屋着を分け、家を出る前に玄関で着替えをすること。これに尽きる。
うちはペット可の賃貸で、犬や猫を飼うこと前提の作りになっている。玄関とリビングはドアで仕切られており、これのおかげで猫のいない空間で着替えをし、そのまま外出することが可能だ。

帰ってきたら、玄関で先に部屋着に着替えてからリビングに入る。

これで外出着と猫を触れ合わせないことが可能となる。出かける直前までは部屋着で躊躇なく猫と触れ合える。
私は靴下を履かない主義だが、靴下も外出の直前に履こう。部屋の中で裸足が嫌な人はスリッパを履こう。
それでも空気中に漂った毛が外出着に付くことはあるため、玄関には粘着ローラーを常においておき、それで簡単に仕上げれば完成だ。この方法なら粘着ローラーの手間は圧倒的に少なくなる。
猫の毛が付きにくい服とは?

とはいえ、猫の毛が付かない服はないものだろうか。猫の毛が付かないならそれに越したことはない。
猫の毛が付きにくい服について考えるうえで、重要なのは生地選びである。生地の構造と、電気的な性質、この2つがキーポイントとなる。
詳しく解説していく。
猫の毛が物理的に付きやすい生地、付きにくい生地
まずは、生地の構造に焦点を当て、猫の毛が物理的に付着しやすい構造か否かを考える。
猫の毛が付着しやすい生地とは、表面に引っかかる場所が多い生地だ。例えば、表面の毛羽立ちが多い起毛素材、目の粗い生地などがある。

逆に、猫の毛が付着しにくい生地とは、表面がフラットで、毛が入り込む隙間や毛羽立ちが少ない生地のことだ。ツルツル、サラサラとした生地や、織りの密度が高い生地がこれにあたる。

生地の種類と、猫の毛の付きやすさを簡単に表にまとめてみた。表の上側程、毛が付きにくいとする。ただし何事にも例外はあるので、あくまで傾向程度に見て欲しい。
| 生地・服の種類 | 物理的な付きやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 革製品 | とても付きにくい | 物理的に毛が入り込む余地がない |
| 高密度ブロード | 付きにくい | 表面が平滑で毛が入り込みにくい |
| ギャバジン | 付きにくい | 比較的フラット |
| トロピカルウール | 付きにくい | 表面が整っていて毛が絡みにくい |
| スラックス地 | 付きにくい | 起毛が少なく表面が均一 |
| 普通のシャツ地 | やや付きにくい | 比較的平滑だが、毛羽で差が出る |
| チノ | 普通 | 表面に少し凹凸がある |
| デニム | 普通 | 織りがはっきりしていて少し残りやすい |
| フラットなジャージ | 普通 | 生地次第で差が大きい |
| 鹿の子 | やや付きやすい | 凹凸が多く毛が残りやすい |
| フランネル | 付きやすい | 起毛で毛が引っかかりやすい |
| スウェット | 付きやすい | 毛羽立ちやすく表面に残りやすい |
| ニット | 付きやすい | ループ構造で毛が入り込みやすい |
| ツイード | 付きやすい | 表面が粗く絡みやすい |
| コーデュロイ | とても付きやすい | 畝に毛が入り込みやすい |
| ベルベット | とても付きやすい | 毛足があり保持しやすい |
| シェニール | とても付きやすい | 表面がふわっとして絡みやすい |
| フリース | とても付きやすい | 起毛が強く毛を抱え込みやすい |
猫の毛が付きにくい服を求めているなら、とにかくツルツルしていて、高密度に織られているハリ感のある生地を選ぶと良い。
生地のことなんて良くわからんという人は、撥水機能が付いている服を選ぶと良い。撥水するということは、水が入り込めないほど高密度ということを意味する。
また、布ではないが、レザージャケットやレザーパンツなどの革製品は最強で、全く猫の毛が付かないといって良い。
逆に、冬場の定番であるニットとかフリースは、猫の毛がとにかく付きやすく、繊維に絡まり粘着ローラーでも取れないので、面倒なことが苦手な人は避けるべきだろう。
静電気で猫の毛が付きやすい生地、付きにくい生地
生地の物理的構造の他に、もう一つ考えなければいけないことがある。それは静電気、つまり電気的性質である。
猫の毛は静電気を非常に帯びやすく、おまけに軽い。なので服の生地の表面がツルツルであっても、静電気で引き合えば、猫の毛は付着してしまう。

静電気とは、2つの物質が擦れたときに、物質の持つ電子が移動し、電気的に正負の偏りが生まれることによって発生する。
物質毎に電子の受け渡しやすさが決まっており、電子を受け渡しやすい物質はプラスに帯電しやすく、電子を受け渡しにくい物質はマイナスに帯電しやすい。
この電子の受け渡しやすさの性質が近ければ近いほど、こすれ合っても静電気が発生しにくいと言える。
ここで、繊維の種類と電子の受け渡しやすさを表にまとめてみた。表の上に行くほど電子を受け渡しやすくプラスに帯電しやすい、下に行くほど電子を受け渡しにくくマイナスに帯電しやすい。
| グループ | 素材 | 猫の毛との関係 |
|---|---|---|
| 正側のグループ | 猫の毛、人毛、ナイロン、ウール | かなり近い。細かい上下は資料差あり |
| やや正側 | シルク | 割と近い |
| 中間 | 綿、麻、レーヨン / ビスコース | 中くらい |
| やや負側 | アセテート | やや遠い |
| 負側 | ポリエステル、アクリル、ポリウレタン | 遠い |
| かなり負側 | ポリプロピレン | とても遠い |
参考にした資料によって差があったが、だいたいこのような感じになる。
参考文献
https://fraser-antistatic.com/wp-content/uploads/2020/10/Triboelectric-Series-Iss.1-EN.pdf
https://arinjayphysics.wordpress.com/wp-content/uploads/2014/04/triboelectric-series-1.pdf
簡単に言うと、猫の毛とその他物質間では、猫の毛と性質が近い(電子を受け渡しやすい正側のグループ)ものほど静電気が起きにくく、性質が離れているものほど静電気が起きやすいという理解で問題ない。
つまり、物理的な付着しやすさを無視し、静電気にのみに焦点を当てた場合、猫の毛が付着しにくい繊維は、ナイロンやウールだ。

一方で、ポリエステルやアクリルなどの繊維は猫の毛と静電気が発生しやすく、猫の毛を寄せ集めやすいと言える。

【結論】猫の毛が付着しにくい服

ここまでをまとめると、猫の毛が付着しにくい服が見えてくる。
まずはレザー系。これは本当に最強。静電気云々の前に、物理的に毛が入り込む余地がないのでまずくっつかない。レザージャケットなどのアウターは、猫毛対策として本当におすすめできる。
次は、ナイロン繊維でなおかつ高密度系で織られた生地がおすすめだ。物理的にもくっつかないし、猫の毛との静電気も発生しにくい。
ナイロン繊維を使った服といえば多くはジャージやウィンドブレーカーなどに採用されている、シャカシャカとしている生地だ。猫の毛対策としてはかなりの効果を発揮する。一方で、ナイロン地はかなりカジュアル感が強いため、普段着としては使いにくい部分もあるだろう。
おしゃれ用の普段着として綿やポリエステルの服を選ぶ場合は、できるだけ表面がツルツルした服を選ぶと良いだろう。猫の毛と静電気が起こってしまう可能性はあるが、生地の物理的構造の方がどちらかというと大切だ。
間違っても、ニットやフリースなどは選んではいけない。スウェットなども基本的に猫の毛の温床となるため、避けた方が無難だ。
服を購入するときは、必ず生地に触れてみて、猫の毛がつきやすい構造かどうか、そしてタグを見てどんな繊維を使っているのかを確認してから購入することをおすすめする。
慣れればなんとなく、生地を触っただけで猫の毛がつきやすいかつきにくいかがわかるようになるだろう。
身に着ける衣類の面積を少なくする

猫の毛を付きにくくするという点だけを見た場合、衣類の面積が少なければ少ないほど、猫の毛は付きにくいと言えるだろう。
つまり、オーバーサイズよりもジャストサイズの方が猫の毛が付きにくいし、衣類の着用点数を減らせば減らすほど良いということになる。
実用的かは別の話として、下着や肌着も着用しない方が、猫の毛が付着する面積を減らすことができる。
下着についた猫の毛は、その上から着た服の内側の生地にも付着することになるが、服の内側までコロコロをするのはさすがに面倒であるため、実現できる人は試してみるとよいだろう。
自分の持っている服で毛の付きやすさを検証
現在私が持っている服は5点のみ。色はもちろん全て黒。
そして猫の毛が付きにくいという点に特化しているため、粘着ローラーの手間をかなり省くことができている。
是非参考にして欲しい。
部屋着

まずは私が部屋着として使っているこの上下セットアップのジャージだ。
素材はナイロン89%、ポリウレタン11%となっている。ポリウレタンは生地のストレッチ性能を高めるために配合されているものなので、メインはナイロンだと言っていい。

かなり高密度で織られており、撥水効果も備わっている。上記で示した理論的に、トップレベルで猫の毛が付きにくい構造をしている。
実際にこのジャージは本当に猫の毛が付きにくい。具体的には粘着ローラーが一切不要なレベルだ。基本的に手で払うだけで猫の毛は除去できる。(裏地は普通の繊維なので、裏地にはくっつく。)
猫様に実験をしていただく。

猫が上に乗った後でも、そもそもそんなに毛が付かない。

静電気で毛がくっつかないので、手で払えばこの通りだ。

ただし、ナイロン地は、吸湿性が低く蒸れやすいこともあり、部屋着やパジャマとして向いているかと言われれば全く向いていない。
また「ナイロン×猫の毛」では静電気が起こりにくいが、「ナイロン×ポリエステル」では静電気が非常に起こりやすいので、ポリエステル製の服や毛布と触れるとかなり不快な感じになるという欠点もある。
何事も一長一短である。


シャツ

実は最近購入したもので、素材はトリアセテートとポリエステルの混合となっている。配分はトリアセテートの方が上。

猫様に手伝ってもらい検証。

こちらも猫の毛が付きにくい。

そして手で払うだけで完全に除去できると言っていい。粘着ローラーは全く不要だ。

というわけで黒のキレイ目シャツで、ほぼ猫の毛が付かない服をついに発見することに成功した。
しかし、トリアセテートはそこまでメジャーな素材ではなく、電気的な性質が猫の毛に似ているのかどうかは、調べても正確な情報は得られなかった。
恐らくは、アセテートと同じやや負よりのグループになると思うが…。実際に試してみて、静電気で猫の毛がくっつきやすい感じはあまりない。
生地の構造としてはツルツルでハリ感がかなりある感じ。物理的に猫の毛が付きにくい構造なのは間違いない。
今後はトリアセテートという素材にも注目していくことにする。

黒シャツを着ていながら猫を気兼ねなく抱っこできるのは本当に素晴らしい。
ちなみに、このシャツに買い換える前に使っていたポリエステル100%のシャツは、同じツルツル系だったが、かなり猫の毛が付きやすく、手で払っても全く取れなかった。


見た目は似ているが、服の生地によって猫の毛の付きやすさは本当に全然違うのだ。
スラックス


ポリエステルがメインのスラックス。こちらは猫を飼う前から使っているもののため、猫毛対策を考えて購入したものではない。

布の表面が結構ザラザラとしている手触りのため、猫の毛は結構付きやすい構造をしている。案の定かなり付く。

手で払っただけでは到底太刀打ちできなくて、粘着ローラーが必須。

たが、シンプルストレートパンツであり、構造が複雑ではないため粘着ローラーがかけやすく意外と手間にならない。
やはり粘着ローラーの掛けやすさもかなり重要な要素だと思う。
ライダースジャケット

最強の猫毛対策アイテム。ライダースジャケット。


猫の毛は全くつかないと言っていい。

多分レザーなら何でもいいので再現性はかなり高い。間違いなく猫の毛がつかないアウターを探しているなら、レザージャケットが一番おすすめだ。
余裕で猫を抱っこ可能である。

しかしレザーの性質上、猫の爪が引っかかりやすく、ひっかき傷にはめっぽう弱く、修復も難しいだろう。
やはり何事にも長所があれば短所もある。
マインドの話
猫を飼っていても黒い服を着るために、一番大切なのはマインドかもしれない。
つまりは、猫の毛が服に着くのは当たり前という諦めである。しかしこれはマイナスではなくプラスにとらえていただきたい。
私は黒い服はキレイに着てこそだと思って生きてきたし、猫を飼い始めた当初は黒い服に猫の毛が付くのが結構気になった。しかし何事も完璧主義は足枷になる。
いつも黒のロングスカートを履いている猫飼いの友人がいる。その友人にあるとき聞いてみた。「服についた猫の毛どうしてる?」って。そうしたら、「もう諦めてる。」って答えが返ってきた。
その時思ったのだ、そっかみんな諦めているんだって。そういうものだって受け入れて生活しているのだと。
猫を飼っていれば猫の毛が付くのは当たり前、粘着ローラーで多少毛が取り切れなくてもそれは猫飼いの証。そう思うことにしたらとても楽になった。
どうしても気になってしまう人は一度訓練をすると良いだろう。黒の普段着で猫とあえて触れ合うのだ。

シャツとスラックスを着て一日部屋で過ごす。猫と一緒にベッドで寝てみる。そうすると全身毛だらけになるだろう。なんなら黒い服がグレーになってくる。そんなことを繰り返していると、次第にもうそれでいいと思えてくるようになるから。
最後に

あれやこれやと色々分析してきたが、誰が何と言おうと自分の好きな服を着るのが一番である。
好きという感情は、手入れの手間や煩わしさを凌駕し得る。本当に好きな服があったのなら私たちはそれを着るしかない。もし煩わしさが勝つのなら、それはおそらく着なくてもいい服なのかもしれない。
猫の毛が付かないことをどれだけ優先するのか、おしゃれをどれだけ優先するのか、両者の配分がどのくらいに着地するのかはその人次第だ。
私は服の生地に拘ったりして可能な限り両立を目指そうとはしているが、何かを得るためには何かを失う必要があるように、相反するものを完全に両立させることは、本来できないことなのかもしれない。
猫は可愛い。私たち猫好きは、猫が存在するというだけでその恩恵を受けていると認識しなければならない。
そして大切なものは、失ってからその大切さに気が付くものだ。猫がもしいなくなったら、愛猫の毛が服に付着しなくなったことを、きっと悲しいと思うのだろう。だから抜け毛すらも本当は愛おしいものなのだと思い出さなければいけないだろう。
それでは。



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